甘い夏 煙草の匂い
進也は人当たりがいいから、誰とでも仲良くなれるタイプだ。
…しかし、百合子はそうじゃない。
アイドルと言う仕事柄、誰にでも愛想は振りまく。けど、本当に心を許す事はほとんどない。
地元以外で本音を語れるのは、百合子のマネージャー、彼氏の進也、進也のダチの俺ぐらいだろう。
不思議な関係に疑問を持ちながらも、黙ってビールを呑んでいると、
「ん?どぉしたぁ?
わかった!龍も真那と友達になりたいんでしょお?」
「は?」
「わかったわかったぁ。仲間ハズレにはしないからぁ。」
「はぁ?」
「ってゆーか、今日はその為に誘ったんだしぃ。仲良くしてねぇ~。」
真那ちゃんを見ると、顔を真っ赤にして百合子を止めようとしていた。
バシッ!
「ぃたぁ~い!
何すんのよぉ!バカ龍!」
「バカはお前だろ?真那ちゃん、困ってんじゃねぇか!」
ケンカが始まったと思ったのか、今度は青くなりアタフタしだした。
「こら。やめなさい。
今日は俺らの打ち上げでもあるんだろ?」
「「はぁ~い」」
進也の仲裁にホッとしたのか、自分の飲み物をチビチビと飲み始めた。