甘い夏  煙草の匂い


進也を玄関まで見送る。


「もしかして、気ぃ使った?」

「アホ。もしかしなくても、そうだろ。」

「サンキュ。」

「龍太…無理強いだけは、しないでくれ。

マジで俺も百合子も、真那がカワイイんだ。」

「あぁ…。」


…俺の方が付き合い長いと思うが、誰も心配してくれないのか…?





進也が部屋を出て行ってから、沈黙だけが流れる。


「…じゃあ、急いで終わらせてしまいますね。」


…そんなに早く帰りたい?


ソファの前に座って、洗濯物をイソイソと畳む真那。

その後ろ姿を見ていたら…手を出さずにはいられなくなった。


「…ゆっくりでいいよ。」

そう言って、後ろから真那の体を抱きしめる。

「あっ…」

ビクッとなった真那は、再び固まってしまい、手に持っていた洗濯物を落とした。


「そんなに、俺が怖い?」

「はい。」

速っ!


「大丈夫。変な事はしないから。」

「へ…変な事って?」

「真那が俺の事をわかってくれるまで、…キス以上の事はしないから。」

「やっ…キスもだめです!」


ウソだろ?死んじゃうよ?俺。


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