甘い夏 煙草の匂い
…このコ、見てると結構オモシロいなぁ。
コロコロと変わる顔色と表情。
口数は少ないが、何を言いたいのかはすぐ理解できる。
下手に口がウマい人間よりも、ずっと信用できる感じだ。
…こいつらが引かれたのも、わかる気がしてきた。
「…上杉さん?」
ボーっと考え事をしていたら、隣から真那ちゃんに声をかけられていた。
「んぁ?…な、何?」
ビックリして、返事が上擦ってしまった…カッコ悪ぃ…。
「いえ…サラダ、ドレッシングはかけなくていいんですか?」
手元の皿を見ると、取り分けたサラダをそのまま食べていた事に気が付いた。
「…あぁ、忘れてたわ。」
クスッと静かに笑い、テーブルの奥から小さなボウルを取ってくれた。
「え?ドレッシング?まさかこれも真那ちゃんが作ったの?」
「あ…ハイ。お口に合うといいですけど…」
市販の瓶タイプとは明らかに違った為、念のために聞いてみたら、やはり控え目な答えが帰ってきた。
「真那のドレッシングは、ホントにウマイ!ハマるよ。」
珍しく進也が熱弁していた。
…進也も、少し酔いが回ってきたのだろう。