甘い夏  煙草の匂い




「…そういえば、掃除の他にメシ作りもやってるんだって?」


急に仕事の話になり、少しビックリしたような顔で見上げる。


「あ…ハイ。時間制なので、時間延長という事になりますが…。」

「時間延長したら、真那にも金入んの?」

「まぁ…時給制ですから。」

「んじゃ、次回からお願い出来る?」

「えぇ?」

「俺がいない時は、冷蔵庫ん中に入れといていいから。な?」


「俺がいない時」というフレーズに、少しホッとした顔を見せた。

…ちょっとキズついた…。


「あ…わかりました。

事務所にある申し込み用紙に、嫌いな食べ物や食べれない物を記入して下さい。」

「おう。ちょうど明日は打ち合わせで事務所行くから。」



事務的な会話をしながらも、少しずつ真那の顔に近づいて行く。


「あ…ちょっ…!」

「ほっぺた。ほっぺただけ。」


真那の小さな顔を両手ではさみ、涙のあとがついた頬にキスを落とした。



「今日は…送って頂いてありがとうございました…。」


「ん…メシ、サンキュな。」



優しく抱きしめ、抵抗されなかった事が凄く嬉しかった…。









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