甘い夏 煙草の匂い
見ると、すでに百合子はイィ感じになっている。
…げ…し~らね。
受け取ったドレッシングをかけて、改めてサラダをつつく。
「あ…ウマイ。」
何も考えずに、ポロッと本音が漏れた…そんな感じだった。
「だろ?百合子なんか掃除に炊事も追加して頼んでるんだぜ?」
「ヘェ…うん、マジでウマイよ。」
そう言って真那ちゃんを見ると、嬉しそうな顔でこっちを見ていた。
「…ありがとうございます。」
…今日、まともに目を合わせたんだと思う。
真っ直ぐな瞳に、柄にもなくドキッとしてしまった。
『今度、俺も頼もうかな?』なんて軽く言ってみるつもりだったが、予想外のドキドキ感に、思わず飲み込んでしまった…。
…コラコラ、俺、大人。
ちょっとしたドキドキ感を抑える為に、煙草に火をつけた。
…よし、大人を取り戻した。
アルコールの助けもあり、この部屋に来たときのモヤモヤ感はなくなっていた。
程よく談笑が進むなか、酔った百合子がワガママを言い始めた。