甘い夏  煙草の匂い



「なーんか、ウィスキー呑みたくなっちゃったぁ。」




「…あんの?」


進也に聞くと


「…ない。」


「じゃ、我慢しろ。」


「…イヤ。そう言われると、絶対呑みたくなってきた!」


…知るか。


隣にいた真那ちゃんががフッと立ちあがって


「あ、じゃあ買ってきますね。」




いやいや、ほっとけって。


「外はもう暗いし、やめときな。

コイツはほっといていいから。彼氏にまかせておきな。」


「え?俺?」


「お前の他に誰がいる?」


「進也ぁー。買出し付き合ってー。」


「…げぇ。」


嫌な顔を見せたが、進也は面倒見がいい。しぶしぶと用意しながら百合子の腕を持って立ち上がった。


「いってらっさーい。」


そういって見送ったはいいが…


…やべ。二人っきりになっちった。



…会話、もつかな?




そんな心配してると、先手を打ってきたのは真那ちゃんだった。



「…あの」


「ん?なに?」


よし!今度は大人な聞き方だったぞ!



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