甘い夏 煙草の匂い
「んじゃ、アドバイスなんていらんだろ?
今のままで、素直にぶつかってみたらいいじゃん。」
…そりゃそうだ。しかし…
「…ぶつかって、ダメだったらどうする?」
「も一回行け。」
「…しつこいって思われたら?」
「…彼氏とかいんの?」
「いない…多分。」
「じゃ、何回でも行け。落とすまで行け。」
…落とすまでって。
「トイレ」と言って立ち去った栄四郎。ふと見ると、すでに3コのジョッキが空になっていた。
「今日の栄四郎…珍しいな?あんなに熱くなるなんて。」
進也はトマトほっけをつつくのをやめて、煙草を吸っていた。
「ん~…龍太の事、心配してたんじゃない?
普段は口に出さないけど、酔うと本音が出るタイプだからね、アイツ。」
そうだな…。
なんだかんだと言いながら、いつも俺を支えてくれている2人。
この2人がいたから、ここまでやってこれたんだろう…。
…今日は、奢っちゃおうかな…?