甘い夏 煙草の匂い
真那に会える事が、嬉しくてたまらない。
2回ほど、一時停止を無視しそうになった。
真那のパジャマかぁ…。
…しまった。電話なんかしないで、押し掛ければ良かった。
夜中の道路は空いていたので、やっぱり5分ほどで着いてしまった。
アパートの前に車が停まっていた。
赤く丸い形の外車…ここの住人か?
勝手に女だろうと認識し、警戒心は持たずに階段を上がった。
― トントン ―
「…ハイ」
小さな返事の後に、ドアがゆっくりと開いた。
「コラ、誰か確かめてから開けろ。」
「あ…ごめんなさい。」
玄関から体を滑り込ませると、部屋の熱気に驚いた。
「あっつ!」
「あっ…ごめんなさい…」
「何これ?どうしたんだ?窓は?」
「ちょっと…開けれなくて…」
気まずそうにする真那の顔色を伺っていると、隣の玄関先から声が聞こえてきた。
甘えたような、まったりとした…女の声だ。