甘い夏 煙草の匂い
かと言って、ロック見つけて解除されても困る。
「真那…よせって。」
フイに見つけた首都高の看板…乗っちゃうか?
グンっと加速すると、驚いた様に顔を上げた。
「高速に乗ったから。ドア開けたら死ぬよ?」
ポカンと口を開けたまま、前だけを見つめていた。
諦めた真那は、フゥと溜め息をつきながら座席にもたれかかった。
「危ないから、シートベルト閉めてな。」
当然の様に言う俺を一睨みし、ゆっくりとシートベルトを引っ張り出している。
「…い」
ムクれたまま何かを言いかけたが、良く聞こえない。
「ん?何?」
「誘拐…されちゃいました…。」
― ズキュ――ン!!! ―
け…計算か?計算なのか?なんなんだその言動は!!
知らないうちにスピードが上がっていて「怖いです!」と言う真那の声で我に返った。
…しっかりしろ、俺…。