fall in labo〜恋する研究室〜
結局、私のビールはミナミさんに奪われ、タチバナさんには酎ハイを飲まされ、私はほとほと疲れてしまった。

これが、4年生なりの歓迎なのか、それとも、所謂かわいがりってヤツか。

油っこい料理と甘いお酒で、だんだんと気分まで悪くなってきた。

って言うか、ダイキくん、私を見張っててくれるんじゃなかったの?

任せろ、って浩実に言ってたよね?

本当に歓迎されてるの?私。

カワサキとも全然話せないし。


「カワサキさん、注ぎましょうか?」

「ん?あぁ。」


そんな何気ない会話でいいのに、カワサキと会話してるのはミナミさんで。

私がカワサキと話すには、あまりにも遠すぎた。


「ちょっと、酔っちゃったんで、風に当たってきます。」


私は静かに言うと、立ち上がった。


「大丈夫?」

「橘くん、飲ませすぎ。」


タチバナさんが私を見上げ心配顔なのに、ミナミさんはケラケラと笑っている。


「大丈夫です。風に当たれば治ると思うんで。」


少しだけ微笑んで強がると、私は店の外に出た。

本当は、誰かに傍にいてほしかった。
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