fall in labo〜恋する研究室〜
「ふぅ。」


外の空気は、思っていたよりもずっと冷たくて、私は思わず身震いした。

こんなに肌寒くなるんだったら、上着を持ってくるんだったな。


「若菜ちゃん!」


お店を出てきたダイキくんが私の隣に並ぶ。

私を追ってきてくれたらしい。

素直に嬉しいと思った。


「大丈夫?」

「うん。ちょっと空気に酔っちゃって。」

「ごめんね、俺、ちゃんと見てなくて。」

「いいよ。席遠かったし、私も子供じゃないし。」


そう言って笑顔を作ると、ダイキくんも笑ってくれた。

でも、それっきり。

2人の間に会話はなくなった。

これじゃあ、1人でいるのといっしょだ。


「ねぇ、ダイキくん。」

「何?」

「何でもいいから、喋って。」


どうにかして心のモヤモヤを吹き飛ばしたい。

でも1人じゃムリだ、助けてもらわないと。
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