fall in labo〜恋する研究室〜
「先輩、わかりますか?」

「……さわ、むら?」


よかった、私のことがわかるなら家まで帰れるだろう。


「あの、ここ学校なんで、家に帰ってください。先輩、多分、熱があります。」

「そうなの?」


かなりつらいんだろう。

いつもとは、別人みたいな顔をしてる。


「戸締まりは私がするんで、先輩は帰ってください。」

「わかった。」


カワサキは私の言うことを素直に聞いてイスから立ち上がった。

が、すぐにフラついて机に手を突く。

この人、1人で帰したら危ない。


「先輩、お家は近くでしたよね?」

「うん。」

「私が送ります。だから、少し待っててください。」


私は猛スピードで自分の帰り支度を済ませると、自分のバッグとカワサキのバッグを持った。


「じゃあ、帰りましょう。」
< 33 / 55 >

この作品をシェア

pagetop