fall in labo〜恋する研究室〜
カワサキの家までは歩いて15分くらいだった。

途中、何度か木枯らしが吹いてカワサキはよろめいていた。

私はカワサキの荷物を玄関に置くとカワサキに向かって言った。


「暖かくして寝てくださいね。私は帰ります。」


そう言って振り返ろうとした私の腕をカワサキが掴む。


「帰んないで。」


ダメー!

その鼻声と潤んだ瞳は反則だって。


「えっ……、でも。」

「お願い。」


心が折れそう。

ここでカワサキ見捨てたら、ずっと後悔しそうだ。


「あの、えっと、じゃあ……、薬、買ってきます。」


そっとカワサキの腕を振り解くと、私は付け加えた。


「絶対、帰ってきますから。」

「ホント?」

「はい。だから、暖かくして寝ててください。」


カワサキはコクンと頷くと奥へと入っていった。

私は玄関を出ると、コンビニに走った。
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