fall in labo〜恋する研究室〜
「若菜。」

「はい……。」


浩実がいつになく低いトーンで私に言う。


「誰からの電話だったの?」

「それは……。」


思わず目をそらしてしまう。


「目をそらさないっ!」

「はいっ!」

「川崎さんからの電話だったんじゃないの?」

「……うん。」


あーぁ、言っちゃった。

ダイキくん、そんな目で見ないでください。


「若菜ちゃん、いつの間に……?やるねぇ。」

「もうっ!もっと早く言ってくれればよかったのに。」


いや、できれば今でも言いたくなかったです。


「でもさぁ、若菜ちゃん、頑張ったねぇ。南さんも川崎さんの番号知らないって言ってたのに。向こうから電話してくるとは。」

「南さんって、あの人だよね?若菜のライバルの。」

「そうそう。」

「すごいじゃん若菜!何したの?」


今度は、興味津津の目で2人は私を見つめる。

さすがにそれは、言えないでしょう。

って言うか、言わないから!
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