fall in labo〜恋する研究室〜
5.恋に落ちたら
私は気づいちゃいけないことに気づいてしまったのかもしれない。

カワサキは、私のことを呼び捨てにする。

ミナミさんのことは、ちゃんと「南さん」って呼ぶのに。

私はダイキくんやタチバナさんと同レベルなんだ、カワサキの中では。

つまり……、女として見てもらえてない、と思う。


『そんなことないと思うけどな?』


私は浩実に思いの丈を話した。

この話は、ダイキくんには聞かせたくない。

電話に向かって思わずため息を漏らす。


「私なんて結局、カワサキにとってはただの後輩なんだよね。」

『そうかな?親しさの表れじゃないの?』

「でも……最近、話してもない。」

『何で?家まで行ったんでしょ?』


確かに、行ったよ、木枯らしが吹き荒れる中。


「でもさ、あの日からほとんど話してないんだよ?話しても、事務的な話ばっかり。」

『忙しかったんだよ、お互い。』

「ミナミさんはずっとカワサキと話してる。私は席も遠いし。」

『南さんは南さん、若菜は若菜でしょ?自信持って!』

「自信なんてないよ、全然。」


私はまた、ため息を吐いた。
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