fall in labo〜恋する研究室〜
家の窓から外を見ると、街にはイルミネーションが輝いている。

最近は、普通の家でもチカチカさせることが多くなったな。


「もうすぐ、クリスマスだね。」

『そうだねぇ。』

「浩実はダイキくんとデート?」

『うん、まぁ。でもさ、イブは研究室でパーティーするんでしょ?」


そう言えば、そんなことも言ってたな、ミナミさんが。

どうせ、私にカワサキとの仲良しアピールしたいだけなんだろうけど。

また、ため息が出た。


『あんまり、好きじゃないの?研究室の飲み会。』

「ううん、そうじゃないんだけど……。」

『ダイキが言ってた。飲み会の若菜はかわいそうだって。南さんが川崎さんを離さないから、ツライだろうって。どうせ、無理して笑ってるんでしょ?』

「……うん。」


今度は浩実のため息が聞こえた。


『若菜はもっと自分の気持ちを出した方がいいよ。』

「それができたら、きっと、こんなに悩んでないよ。」

『違う。若菜は自分を出すのが怖いだけなんだって。出さないと、伝わらないよ?』

「でも……。」

『せっかく、川崎さんのこと好きになったんでしょ?やっと、好きって言える人を見つけたんでしょ?じゃあ、少しぐらい勇気出しなさいよ!』


いつもニコニコして私に対しては怒ることなんてない浩実の言葉は、私の心に突き刺さった。
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