fall in labo〜恋する研究室〜
「ねぇ、誰か買い出しに行ってよ?」


ミナミさんの指令に、珍しくカワサキが真っ先に手を挙げた。


「あ、俺行く。」


それを見て、ミナミさんが飛びついた。

さっきまであんなにイヤそうだったのに。


「じゃあ、私も行きますね。」

「いいよ、沢村連れて行くから。南さんは、こっちの準備しといて。」


やっぱり私は沢村で、ミナミさんは南さんなんだね。

……ん?

今、何て言った?


「おーい、沢村。行くぞ?」


カワサキがドアに向かいながら、私を呼んでる。


「…はいっ!」


すごい形相で私を睨むミナミさん。

ダイキくんはニッコリ笑って、口パクで「頑張れ」。

私はコートとバッグを掴むと、カワサキを追いかけようと廊下に飛び出した。

けど、カワサキはまだ廊下にいた。


「ごめん、荷物取ってくる。待ってて。」

「はいっ!」


待ちます、いつまでも。

私は研究室に入っていくカワサキの背中を見ていた。
< 49 / 55 >

この作品をシェア

pagetop