fall in labo〜恋する研究室〜
突然、カワサキが笑いだす。

ヒドイ。

私は、こんなに悩んで、こんなに苦しんで、やっと言えたのに。

思ってることのほんの少しだけど、思いきって言ったのに。

笑うなんて。

目に涙が溜まってくるのがわかる。

私は涙をこぼさないように下唇を噛んだ。


「なぁ、もうそろそろ素直にならねぇか?」


カワサキが私に微笑みかける。

その笑顔を見た瞬間、今まで堪えてきたものが溢れだした。

涙が止まらない。

もう、どうなってもいいと思った。


「先輩……。」

「何?」

「好きです……、大好きです!」


一瞬の沈黙。

そのすぐ後、カワサキの笑い声が聞こえた。


「うん、気づいてた。」

「……えっ?」


気づいてたの?

ずっと、隠してきたのに?
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