私が彼女を殺した訳(理由)
夕方、退院する時も杏子は私に付き添って来た。

病棟、ローカ、ロビー…。

回りの人間が一旦立ち止まり私と杏子を見比べている。

もう今までのように【気のせい】だと思うことは出来なかった。

『幸子、学校明日から行くんでしょ?一緒に行こうね』

『…うん…』

(杏子、私をそんなに晒したいの?あんたと並ぶと皆が見る!何故私の辛さ気付いてくれないの?)


いくら心で叫んでも、お気楽な杏子には分からない。


自宅までの道程がこんなに長かったなんて知らなかったよ…。


今はただ一刻も早く杏子から解放されたかった…。

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