私が彼女を殺した訳(理由)
杏子は瞬く間に人気者・看板娘になった。

三年も頑張った私なんてものの1週間で居るか居ないか分からない存在になっていた。

従業員も私と杏子が二人並ぶとクスクス笑う。

客も杏子と料理を運ぶと二人を見比べる。杏子は

『私達、双子なんです』

悪びれもなく口にする。皆が笑う。


その度に私の胸は針を刺されたように痛み、額の傷が熱くなる

(やめてよ、杏子!やめて)

作り笑いの私は心で叫んでいるのに…。

気づいてよ…

お願い、気づいて!


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