私が彼女を殺した訳(理由)
ある日、板長の使いで市場へと向かっていた。

料亭にいても皿洗いしかすることのない私がきっと邪魔なんだろう…。

今日、明日使う物は頼まれていない。


私は今にも泣き出しそうな空を見上げながら必死に涙を堪えていた。

『あっち行けよ、ブス!』

その声が私に向けられたと思い振り返る。


5、6歳の女の子が小学生位の男の子3人に囲まれていた。


幼い自分と重なり、私は助けに行くことを躊躇してしまった。


その女の子は泣くこともせずしゃがんでいるだけ。


あれは私幼い頃の私。


< 42 / 85 >

この作品をシェア

pagetop