私が彼女を殺した訳(理由)
1人の男の子が女の子の髪を引っ張った時、私は咄嗟に駆け出していた。

『止めなさい!』

私は自分でも驚いてしまった。

大声にびっくりして男の子達は振り向くことなく走り去った。

女の子は相変わらずしゃがんだまま。

『大丈夫?怖かったでしょ?』

女の子がそっと顔をあげた。

分厚い眼鏡をかけていて耳には補聴器…。


にっこり笑うと

『あじあどう…』

と頭を下げた。

あれほど我慢していた涙が一気に溢れてきた。


この子は幼い私なんかじゃない。

今の私よりも遥かに強く逞しく生きてる。


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