ほたるのなみだ
それが、あたしと彼との出会いだった。
お店の中では、割と良くあることで、あたしはお客さんに連絡先を聞かれたら、余程嫌なお客さんでない限り、連絡先を交換する。


もししつこいようなら、昼間の仕事を言い訳に連絡に応じなければいいのだし、何よりママの人柄からか、単に恵まれていたのか、そんなタチの悪いお客さんに出会ったことがなかった。


あたしはいつものように携帯の番号を教え、その場でワンコールしてもらった。


そして、仕事が終わった後、その番号に電話をかけた。


深い意味などなく、ただ店のキャストして、仕事として、
「来店ありがとう」を伝えるための電話だった。
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