KITUNE
「まっ、中にはああいう人間もいるさ。それよりコムラ、あの子に構い続けるつもりか?」

「…夏の間だけだ。それもお前には関係無い」

「つれない言い方だな。お前にとって、俺は幼馴染とも言える存在だろうに」

「ふざけるな! 人間関係を持ち出すな。鳥肌が立つ」

「つれないこと」

キムロは軽く息を吐き、コムラに背を向けた。

「まっ、せいぜい面倒を見てやることだね。この森がどんな場所なのか、あの子は知らない。無知とは恐ろしいものだということを教えてやれよ」

「黙れっ!」

キムロはにやっと笑い、その場を去った。

残されたコムラは歯噛みする。

「…守ってやるさ。この森から、な」
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