KITUNE
「か弱い女の子が持つには重過ぎるものだわ。それに…私も頂きたいしね」

そう言って茶目っ気たっぷりにウインクする女の子を見て、察した。

「あっああ…。食べたいのね、スイカ。一刻も早く」

わたしのスピードでは、たどり着くまでもうしばらくかかるだろう。

そしてその間に、スイカはぬるくなってしまうから…。

「察するのが早くて嬉しいわ。じゃあ、待ってて。すぐに戻って来るから!」

そう言って女の子は軽やかに山道を走り出した。

元より小柄な女の子だが、その動きはちょっと人間離れしている…というより、田舎の少女らしい。

わたしは『すぐに戻って来る』という言葉を信じて、その場にしゃがみこんだ。

…実は限界だった。
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