KITUNE
距離的にはそんなに遠くないのだが、急斜面がキツイ。

整備されていない山道を歩くのは、ここに来なければまずないことだ。

草むらのキレイそうな所まで移動して、腰を下ろした。

「ぷは~。…しんどかった」

座ると気付いた。
 
…やっぱり汗臭い。

滝のように雨のようにダラダラ垂れてきているのだから、しょうがないのだが…。

この体でコムラに会うのは、やっぱり気が引ける。

スイカを渡して、そのまま帰ろうか。

あの小さな女の子も食べるのなら、自分がいなくても平気だろう。

「あれ? キミ、昨日の女の子?」

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