KITUNE
「えっ?」

再び声をかけられ、わたしは顔を上げた。

後ろに、黒尽くめの少年がいた。

歳はコムラと同じくらいか、彼の方がわずかに上か。

にっこり笑うも、背筋に冷たい汗が流れた。

…何だろう? 悪寒?

しかし別におかしなところは見受けられない。

一見は。

「あなたは?」

「ああ、俺はキムロ。コムラの古くからの知人」

コムラの名前を簡単に言った。

わたしと彼が知り合いだということを知っている?

つい昨日のことなのに?
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