KITUNE
わたしが何か言おうと口を開いた時。

「キムロっ! 彼女に何をしているっ!」

険しいコムラの声。

それと同時に手が離された。

コムラがわたしとキムロの間に割って入ったからだ。

「彼女には近付くなと言っただろう?」

「こんな所に一人にしておくほうが危険だろう? 俺は他の奴等が彼女にちょっかいかけないよう、見張っていただけだ」

キムロは笑みを崩さず、立ち上がった。

「今度からコムラに迎えに来てもらうといい。ここにいるのは俺やコムラ、それにミトリだけとは限らないからな」

「ミトリ?」

聞いたことのない名前に首を傾げると、キムロは顎で上を差した。
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