KITUNE
わたしはそのまま山道を下り始めた。

「あっ、送るよ。キムロ、ミトリ、スイカ持ってって」

「分かった」

「ちゃんとりんを送るのよ」

コムラは困り顔で、わたしの隣で歩く。

「今日はホントにゴメン。一人にするべきじゃなかった」

「…ねぇ、コムラ」

「なっ、何?」

わたしはクルッと体の向きを変え、彼と向き合った。

「わたし、コムラを信じて良いのよね?」

「えっ?」

「コムラが信じろって言うなら、わたしは信じる。…この世の中、人間だけが正しい生き物じゃないしね」

そう言って、にっこり笑った。

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