KITUNE
わたしは苦笑して、祠へ近付いた。

「―こんにちは。はじめまして」

祠へ声をかける。

「ミオ、あなたの好きな水羊羹を持ってきたの。良ければ姿を見せてくれない?」

するといきなり祠の扉が開き、中から二本の細い腕が伸びて、わたしの腕を掴んだ。

「きゃっ!」

「りんっ!?」

「…やかましいのぉ」

声は若い女の子なのに、口調はウチのお祖母ちゃん以上に年寄りだ。

小さな祠から、細い女の子が出てきた。

ミトリが十歳ぐらいの女の子なら、この子は十四歳ぐらいの女の子。

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