KITUNE
水色のワンピースに身を包み、眠たそうな顔をしている。

「久し振りの人間、か。コムラとミトリの気に入り…いや、キムロも含むか。珍しいのぉ、お嬢さん」

ミオはわたしの腕を掴んだまま、大あくび。

「しかも私の好きな水羊羹まで持参しおって…気が利くというか、バカと言うか」

ミオの目がわたしを見た。

―濃い青。黒に近い青い大きな目。

「―キレイね。ミオの目は」

「おうよ。目は力を表す。美しさもまた然り」

「うん、キレイ。…で、いつまで掴んでいるの?」

「んっ…ああ」

ミオはやっと離してくれた。

…体温が少し冷えた。


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