KITUNE
貰い物―主にお菓子などを差し入れすると喜ばれた。

今日は老舗の水羊羹の詰め合わせセット。

ミオはバリバリと包装紙を破り、箱を開けて笑顔になった。

「おおっ! 香楽の水羊羹ではないか! まだあったんだな」

…ミオ達が言うと、歴史を感じるなぁ。

ミオは小倉のカップと備え付けのプラスチックのスプーンを取った。

そしてフタを開け、食べ始める。

「ん~~~! 何十年経っても変わらぬこの味! 生きてて良かったわい」

「そっそう…。喜んでもらえて良かったわ」

「ミオ、りんは湖で遊びたいんだ。良いよね?」

コムラが真面目な顔で言うと、ミオはこっちを見ないまま。

「好きにせい」

…上機嫌で答えた。
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