KITUNE
少年の色素の薄い眼と、キレイな声に心臓がうるさいぐらいに動いている。

「あっあの、ゴメンなさい。倒れていたから、具合悪いのかと…」

「…ああ、そうなんだ。ううん、寝てただけ」

彼は起き上がり、欠伸を一つ。

「あっあの…」

「うん?」

「ゴメンなさい。手を…」

腕は未だに捕まれたまま。

「ああ、ゴメン」

離された手は、とても冷たかった。…低血圧なんだろうか? 寝起きも悪そう…。

「で、キミは?」

「えっ?」

意味が分からず首を傾げると、彼はにっこり微笑んだ。

「ここに何しに来たの?」

「………迷ったの」

「…えっ?」

今度は彼の方が驚いた顔で聞き返してきた。
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