KITUNE
「うっうん…」

そこでちょうど良く、コムラが眼を覚ました。

そしてキツネのお面をかぶっているわたしを見て、ぎょっとした。

「わっ、りん!? どうしたの?」

「おはよう、コムラ。お寝坊さんね」

わたしはクスクス笑いながら、お面越しにコムラを見た。

「どお? こうすれば、わたしもあなた達と同じように見られるのかな?」

「りん…」

コムラは起き上がり、わたしの頭を撫でた。

その優しさに、涙が溢れてきた。

…もうすぐ夏休みが終わる。

わたしは、帰らなければならない。


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