KITUNE
祭りの夜
わたしは祖母にもらった浴衣を着て、山の麓でコムラを待っていた。

「お待たせ」

コムラが浴衣姿で来た。

彼の白い肌に、紺色の浴衣が目立っていた。

「りん、浴衣姿可愛いね」

「ありがと。コムラも似合ってる」

わたし達は微笑み合った。

「あっ、そうだ。コレ」

コムラはキツネのお面をわたしに差し出してきた。

「着けてて。ボクの力が入っているから、このお面を着けているうちは、りんが人間だってバレないから」

「…ありがとう、コムラ」

そしてゴメンなさい。
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