KITUNE
楽しい時間はあっという間で、すぐに山のふもとへ出られた。

「ここからなら帰れる?」

「うん、ありがとう」

「どういたしまして」

にっこり笑うコムラを見て、胸が高鳴るのが分かる。

…このまま二度と会えなくなるのはイヤ。

「ねっねぇ、コムラ」

「何?」

私は手を握り締め、コムラの顔を真っ直ぐに見つけた。

「また、会える?」

キョトンとしたコムラの表情。

「あの神社にいるなら、会いに行っても良い? それともこの村に住んでいるのなら、お礼したいし…」

しゃべっているうちに、何を言っているのか自分でも分からなくなった。
< 7 / 75 >

この作品をシェア

pagetop