まもりねこ。
第0章 プロローグ
「あーあ。誕生日はもうすぐなのに」
もうすぐ梅雨の時期になる。
しかしジメジメした嫌な空気が既に町中に溢れていた。
ここ、フライベルク国では早くも梅雨に向けて国民が準備を始めている。
なぜなら梅雨の時期になると薬草や、調合に使う草花たちが育ちにくくなるためである。
こればかりは魔法を使ってもどうにもならない。
というよりも、そういう草花は魔法の影響を受けやすいので極力使わないという方向なのである。
なのでハロウィーンやクリスマス、お正月以外でもっとも忙しい時期といえる。
これは、そんな大変な時期に産まれた少女の物語――