まもりねこ。
ネムは左手首にブレスレットを着けると、マントを羽織って大急ぎで階段を駆け下りた。
靴を一生懸命履いているとき、後ろに気配を感じて振り返るとそこにはお母さんが居て、優しく微笑んでいた。
「朝から忙しい子ね。今日はお祭りだからって、あまり遅くなってはだめよ。それと、ほらこれ。少ないけれどお小遣い」
お母さんは、そう言うとネムの手に、そっとお金を渡してくれた。
子供が持つには十分すぎる額だったので、思わず返そうとしたが、お母さんは首を横に振って受け取らなかった。
「ママ……ありがとう」
「久しぶりにそのブレスレットをしてくれてママとっても嬉しいのよ。それはお守りみたいなものだから、何かあった時にネムを守ってくれるはずよ。ディルクもちゃんとネムを守ってあげてね」
「心得ています」
ディルクは大きく頷き、ネムの肩に飛び乗った。