まもりねこ。
「それじゃ、行ってきます!」
玄関を勢いよく開けいつもの場所に置いてあるホウキをスキップで取りに行った。
その様子を見て、ディルクはネムにばれないようにこっそりと笑っていたが結局ばれて怒られてしまった。
ホウキにまたがりディルクを前に乗せ、地面を軽く蹴り、空へふわりと舞い上がる。
――ネムはこの瞬間が大好きだった。
街や森を見下ろし、鳥とお話をし、風に乗って進んでいく。
当たり前の光景かもしれないがネムにとっては毎回が冒険のようでとても楽しめる。
アリーセ達とは市場の南門入り口で待ち合わせをしているが、ネムはお婆ちゃんの家で陽汰を迎えに行くことになっている。
陽汰を一人で市場へ行かせるのは危ないし、ネムとディルクがついていれば少しは安全だろうというお婆ちゃんの考えだったからだ。
お婆ちゃんの家に着くと陽汰が家の前のベンチに座って待っていた。
ネムは陽汰の前にそっと降りた。