まもりねこ。

「遅いですわ。でも私はあまり怒っていませんけど。なぜなら……ほら、ヨンドの花があんなに誇り高く咲いているんですもの」



 ロミルダがヨンドの花を指差しても、その指の方向をちゃんと見たのはベルホルトだけだった。


「別にあたし達も怒ってないよ! それよりネムが歩くなんて珍しいじゃん。あたし達の街にいる時はほんの少しの距離でもずっとホウキに乗ってて、仕舞いにはお母さんに怒られて泣いてたっけ」



 それを聞いて皆笑ってしまった。



 ――ネムとディルク以外は。


 陽汰は意味が分からなかったらしく、愛想笑いをしているだけだった。


「あたし向こうに居たときの事、あんまり覚えてないんだよね。もちろん皆と仲良く遊んでたりした事は覚えてるんだけど」



 ネムは肩をすくめた。



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