まもりねこ。

「ねえ、ディルク。こないだのお祭りの日、あたしママの手作りのブレスレットしていたじゃない? 覚えてる?」


 そう言いながらネムはディルクの隣に腰をおろした。

 こないだ布団を干したのでお日様の香りがする。


「当たり間だ。わたしが選んだのだから」


 ディルクは毛繕いをやめ、なぜか得意そうな顔をしてみせた。


「実は陽汰があのブレスレットを触ろうとした時に凄い光を放ったのよ。そして陽汰が胸を押さえて苦しそうにしていたの」


 話している間、ディルクの顔が険しくなったので口を挟まれないように早口で話し出し、締めくくった。


「陽汰はもともと心臓が少し弱いらしいし、きっとあの光は人間に触れられてはならないようになっているから出てきたのね、きっと」

 
 今のこのディルクの顔を見れば、誰もが何か言いたげだなと思うだろう。


 ネムはディルクが何か話すまで待とうと思った。



 だが、何を思っているのかいっこうに話さないでいた。



 とうとうネムがしびれを切らした。


「もう! いつもはすぐに口出すくせになんで何も言わないのよ!?」





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