まもりねこ。
「ねえ、あたし小さい頃に何かとんでもない事しちゃったの? そうじゃなきゃこんな大それたもの、ママがあたしの為に作るわけないじゃない」
――自分自身が怖くなってきた。
この街に越してくる前の記憶がほとんど無い事や、昔は魔法が上手に使えていたという事……
考えれば考えるほど自分が何者なのか分からなくなり、全身に鳥肌がたってきてしまった。
「母上はお前を守るために必死だったという事だ」
ネムは立ち上がり、ディルクを置いて部屋を出た。
ディルクがついてこようとしたがそれを拒んだ。
例え考えても分からないことだとしてもこんがらがっている頭の中を整理したかった。
そしてネムは一人になりたかった。
それに、誰も真実を教えてくれないこの苛立ちをディルクにぶつけてしまいそうで怖かった。
階段を降りて右手に居間がある。
テーブルの上にはネムの大好きなコットンキャンディが一袋置いてあった。
きっと母親がネムのおやつにと置いたのだろう。