まもりねこ。

「どうしていつまでたっても誰も教えてくれないのよ!! もう14歳なのに!!」



 張り上げた声が家の中で鳴り響いている。

 両親はお店に出ているので聞こえていないだろう。


 ディルクには聞こえただろうが、関係なかった。

 段々苛立ちが募っていく中でネムは自分の心の中に黒い影が蠢いているような気分になった。



 これほどまでに苛立ったのは初めてだったので自分でどうしたらいいか分からず、ふいに涙が溢れてきた。



 自分が闇に呑まれてしまいそうで怖かった。


 まさか自分は本当は悪魔なのではないかという考えが一瞬頭を横切ったが、すぐにかき消された。



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