まもりねこ。
「ごめんねぇ。好きなお菓子持っていっていいからね」
すまなそうに言うこの女性は彼女の母親である。
誰が見ても、二人は親子だと確信するだろう。
髪や瞳の色、髪質や整った顔立ちは母親ゆずりで、それがネムにとって一番うれしいことである。
「いらなーい。自分のお店のお菓子もらっても嬉しくないもん」
そう、ネムの家はお菓子屋さんなのである。
駄菓子や、ケーキ、いたずらグッズなどたくさんの物が売っている。
日替わりで店の中の装飾や品揃えが変わるのは父親のこだわりらしい。
ネムは、舐めるたびに色が変わるチョコレート・キャンディを1つ口に入れながら外に出た。
――もうすぐ梅雨とは思えないぐらいの快晴。