まもりねこ。
第三章 黒い渦
雨はいつの間にか止み、霧は晴れ、虹が出ていた。
市場には再び人が集まり、いつものような賑やかさを見せている。
中央の噴水には水の妖精と、まだ小さい魔法使いの子供が一緒に遊んでいる。
覚えたばかりの魔法を使ったが失敗し、二人で笑いあっていた。
噴水の近くには、バナナ・サンデーが売っていたが、この季節なので買う人は極端に少なかった。
母親に買ってくれと頼んでいる子供が、おなかを壊すでしょうと言われ、何も言い返せず悲しい顔をしてその場を去っていった。
……悲しい顔をしていたのは、バナナ・サンデー売りのおじさんも一緒だったが。
お婆ちゃんの家に着くまでの間、誰も一言も喋らなかった。
いつものネムなら、こんな空気は耐えられなかったのだが、喋ってはならないような気がしたのだ。