まもりねこ。

「ネム。今日は母上の言うとおり早目に帰宅しよう」

 そんなの分かってると言わんばかりにネムはディルクを睨みつけた。

 しかし、お構いなしにディルクは東の空をずっと見つめていた。


 そうやりとりをしているうちに市場へ着いた。

 ユルティーナ市場は、国民や各国の旅人が集まったり、連日にぎわっていてネムのお気に入りの場所のひとつだ。

 今日はいつもより人が多いせいか、地面に降りるのに一苦労なネムを横目に、ディルクは既に地面に降りたち毛づくろいをしていた。


 ネムは魔法でホウキをしまうとディルクを抱っこした。

「人が多くて踏まれたらイヤなのよ」

「うむ」

「それに温かいしね♪」

「……」

 ディルクが呆れた顔をしてるのを知ってか知らずか、市場の中央へ足を進めていく。

 中央には大きな噴水があり、よく待ち合わせの場所として使われている。






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