まもりねこ。


 次第に、ポツ、ポツと窓を打つ雨の音がしてきた。


 雨は段々強くなり、丈夫な木が風で思い切り揺れていた。



 「大地の怒りか…」



 ディルクはそう呟くと、目を閉じて今日の出来事を考えていた。


 それに、さっきネムが言った事も繰り返し考えてみたが結局、結論には結びつかなかった。


「あのとき、なぜわたしは小僧の気配を感じ取れなかったのだ? 何かこう、別の気配のように感じてしまっていた」


 階段での出来事を思い出し、不思議に思った。



「わたしは、如何なる時にもお前を守るよ。これ以上、大事にならなければ良いのだが。早く満月が来て、あやつが帰ってくれればうまくいくのだ」


 そしてすやすや寝ているネムを見つめ、ディルクは続けた。


「神よ、我らを見放さないで下され。ネムはまだ幼いのです」


 風の音や、窓を叩く雨の音に耳を澄ませながらディルクも眠りに付いた。




< 72 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop