まもりねこ。
次第に、ポツ、ポツと窓を打つ雨の音がしてきた。
雨は段々強くなり、丈夫な木が風で思い切り揺れていた。
「大地の怒りか…」
ディルクはそう呟くと、目を閉じて今日の出来事を考えていた。
それに、さっきネムが言った事も繰り返し考えてみたが結局、結論には結びつかなかった。
「あのとき、なぜわたしは小僧の気配を感じ取れなかったのだ? 何かこう、別の気配のように感じてしまっていた」
階段での出来事を思い出し、不思議に思った。
「わたしは、如何なる時にもお前を守るよ。これ以上、大事にならなければ良いのだが。早く満月が来て、あやつが帰ってくれればうまくいくのだ」
そしてすやすや寝ているネムを見つめ、ディルクは続けた。
「神よ、我らを見放さないで下され。ネムはまだ幼いのです」
風の音や、窓を叩く雨の音に耳を澄ませながらディルクも眠りに付いた。