無人島
「さて、と・・・」

ケントは、私をまじまじと見つめて、何か言いたげな顔をしている。

今さら、私に助けを求めるか?!

さっきの好感は一瞬にして水の泡と化した。

「ボートってどこに置いてあるんですか?」

そんなケントに助け船を出したのはテツヤくんだった。

さすが・・・。

見た目だけでなく、こういうこともスマート。

はぁ。

私って結局はこんなかっこいいタイプとは無縁なんでしょうかね。

「あ、もう承諾ずみ?」

ケントは急に表情を明るくして、私の顔を見た。

子どもか・・・ったく。

「俺、海でボートなんて初体験だから、ちょっとわくわくしてるんですよ。」

テツヤくんがまたフォロー。

テツヤくんが前向きだから、ナホまでそれにつられて笑顔でうなずいてる。

どういうこと??

「あっちの岩場にボート置いてあるんだ。じゃ、そろそろ行きますか?」

ケントは嬉しそうに岩場を指さして、先頭を歩き出した。

しかめっ面の私を残したまま、テツヤくんとナホは笑顔でその後に続いていった。
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