無人島
「大丈夫。きっと何とかなるって。俺、運だけはあるんだ。」

ケントはびしゃびしゃになった髪の毛を右手で掻き上げた。

そして、少しだけ笑った。

いつもなら、こんないい加減な楽観的すぎる返答には嫌気がさすけれど、

今の状態では、そう言ってくれたケントに勇気をもらった。

そうだよね。

信じるしかない。

ケントの運の強さを。

私もひきつりながらも少しだけ笑ってうなずいた。


時々口の中に入ってくる海水はとてもしょっぱかった。

尋常じゃないくらいに。

魚は、こんなしょっぱい海水の中で泳いでいるのね。

そして、そんな魚を私たちはおいしいおいしいって食べてる。

そんなどうでもいいようなことを思いながら、あまりの疲労に私は少しずつ意識がなくなっていった。

どうなっちゃうんだろ。

こんなところで意識失ったら。


次目覚めたら、そこは天国だったりして・・・

そして、私はブクブクと耳元に泡のはじける音を聞きながら現実ではないどこかへひっぱられていった。



どこへいくんだろう。

私たち。
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