月と太陽Ⅲ
「標識?」
エセルが声をあげた。
するとサスティンがエセルの顔を覗き込むようにして言った。
「あの大きな木の横にあった標識だよ。覚えてないのか?」
エセルは考え込むように頭を抱えると、何かを思い出し、声を荒げた。
「ああ、あの標識の事ね。確かに言われてみればそうね。"過去を求めて今を知れ"。まるで予言のようだわ」
確かに。とでも言うようにほかの三人が頷く。
すると突然、サスティンがある事に気付き、驚いたような表情をした。
「そう言えばフェリア、腕の包帯、もう外さなくていいのか?」
それを聞いたフェリアは微笑みながら、もう傷が消えている左腕を眺めた。
「ええ。ソフィアさんがつけてくれた薬、本当に凄いわ」
そう言うフェリアの左腕をエセルは見つめた。
全く傷が残っていない。
エセル消えている傷跡を見て、嬉しそうに言った。